事例紹介
Kaバンド帯ラジオメーターの改造
ラジオメータ改造例
K大エネルギー理研から、既存ラジオメーターの観測周波数帯域の拡大依頼を受けた。 改造点は、1)高磁場内で運用させるので磁場対策を施すこと。2)フィルタバンクと検波器を倍増すること。
改造前のラジオメーターは鉄製ケース内にKaバンドのRFを導波管ミキサと局発のガン発振器からなるRFスーパーヘテロダイン回路により広帯域中間周波数に変換し、広帯域増幅器により、所定出力まで増幅後広帯域スプリッタで8分岐し、それぞれBPFの出力を広帯域同軸検波器により直流電圧に変換する構成である。改造点は、①現状ボックスに8CHから16CHに倍増すること。②現状の3電圧のDC電源入力端子に外部電源からケーブルで接続する構成から、内部にAC/DC電源を組み込み、AC100Vのみで動作させる(写真1)。検討結果の結果、現状のブックスではBPF+検波器の倍増は物理的に無理であることが判明した。そこで、16CH分のスプリッタ+BPF+検波器を鉄製ボックスに収容することとした(写真2~8)。検波器に入力されるレベルは低下するので、磁気擾乱の雑音対策の磁気シールドは、鉄製ボックスのほかに検波器のダイオードの部分に鉄ブロックで固定する構造とした。また、鉄製ボックスの幅は、19インチラックに収まるサイズにした。RF及びIFケーブルは最短距離になるように部品配置設計を行った。ケーブル、固定部材は低価格の既存の物を採用し組み立てた。検波器出力は、インピーダンス整合器も接続できるようなケーブル設計、機構設計を行った。
写真1 改造後のRF部ボックス内部
写真2 改造後のIF SP+BPF+DETボックス内部前部
写真3 改造後のIF SP+BPF+DETボックス内部前部パネル
写真4 改造後のIF SP+BPF+DETボックス内部後方より
写真5 改造後のIF SP+BPF+DETボックス内部組立中側面 磁気シールドブロックと検波器
写真6 改造後のIF SP+BPF+DETボックス内部組立中側面 スプリンター固定構造
写真7 改造後のIF SP+BPF+DETボックス内部組立中、左からSP、ケーブル、BPF、検波器